断熱について|諏訪・松本・伊那の注文住宅ホームライト 長野県の気候に適した暖かい家づくり

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断熱について

断熱について

 当社は、ご存知のように高気密高断熱住宅の建築を得意とする会社です。この「へいへいほう」紙上でも断熱について、機会あるたびに様々述べてきました。どうしても話の性質上というか、当社の性格上と言うか、専門的な話題になりがちであったように思います。
 最近は、「高気密高断熱」とか「次世代省エネ基準」とか「Q値」とかいう言葉も、各社の広告で出よく見かけるようになりました。各社様々な比較広告を行っていますが、なかには「明らかに嘘」(と思われる)表現や「いかがなものかな」と言う広告がある場合を見受けます。これではお客様も混乱してしまうに違いないと思い、もう一度基本に立ち返って、断熱のことをお話してみようと思い立った次第です。

家の断熱性能を上げるには

 家の断熱性能を上げるというのは、言い換えると「家から逃げていく熱の量を減らす」と言
うことです。図1をごらん下さい。
図1

家の中の熱は、壁から、天井から、床から(基礎から)、窓から、隙間から、外に逃げ出します。 これを減らす為にはさてどうしたら良いでしょうか?
「サッシを断熱サッシにする」(半分正解)
「断熱材の性能を良くする」(半分正解)
「断熱材を厚く入れる」(半分正解)
「家全体の隙間を減らす」(ほぼ正解)
「外断熱にする」(ほぼ不正解)

断熱サッシにもいろいろ有る


良く見る広告に「ペアサッシ使用 無結露」「内側樹脂の断熱ペアサッシ使用」等が有ります。 「断熱サッシを使っているのだから暖かいだろうな」と思う方も多いかと思いますが、ちょっと待ってください。表1を見てください。
表1 サッシの断熱性能 
(K値=熱貫流率 W/?K)


サッシの断熱性能は、ガラス、フレーム、サッシの形状等によってこんなにも違いが有ります。 同じ断熱サッシといってもその性能には大きな違いが有り、例えばAとBでは、2倍強の差が有ります。 ちなみに、ツーバイフォー工法における断熱材の入らない壁の平均K値は2.5です。この数値を超えるサッシは、この表で言えば、3種類しか有りません。 「シングルサッシよりましだから断熱サッシと言う」のでは時代に遅れています。「断熱サッシはそのK値を必ず聞いてみましょう」 尚、サッシ性能と結露は密接な関係にありますが、サッシ性能を良くするだけでは無結露は実現できません。その点は、 後に触れたいと思います。

断熱材の効果=性能×厚み

これは、皆さん当たり前のことだとお思いでしょうが、案外引っ掛かりやすいんです。 先日ある社の広告にこう有りました「日本一の高性能断熱材使用」 ・・・どう思います?「すごい」と思った方いませんか? そう思った方、ここでこの項の小目次に戻ってください。
「断熱材の効果=性能×厚み」、つまり日本一高性能でも、「厚みが足りなければだめ」なのです。ここで 表2をごらん下さい。
表2 断熱材の性能
(λ値=熱伝導率 W/mK)

日本一の断熱材Aと最も普及しているグラスウールBの断熱性能は約2.5倍の差が有ります。 大きな差ですがBが100ミリ厚であれば、それに匹敵するにはAは40ミリの厚さを必要とします。「30ミリ厚の日本一の断熱材は100ミリのグラスウールに劣る」 と言う結論になります。この際、内断熱であるか外断熱であるかは無視していますが、こと断熱材の効果で言えばそうなります。
高性能の断熱材が開発普及することは、私ども建築業者にとってありがたいことで、それにけち付けようなどと微塵も思いませんが、 「断熱材の厚さの取れる箇所は、厚くとる」 というのが断熱施工の基本であることは今も変わっていないと言うことを再度確認したかったものです。

断熱材の性能とコスト

世の中にコストと言う考えが無ければ、高性能の断熱材を厚く使えばそれで事足りるわけですが、 そうはいきません。常に「費用対効果」はシビアに検討されるべきです。
そこで、当社の使用している断熱材の「同じ断熱効果を実現した場合にかかる費用」を計算し、一番安価な物を100として比較して見ました。 同じ断熱効果で比べていますので、純粋に価格の差が表れます。表3 は単に材料費のみの比較、表4 は壁への施工費を加算した場合です。
表3 同じ断熱効果に要する費用
(材料費 グラスウール10kを基準とする) 当社比

表4 同じ断熱効果に要する費用
(材料費+施工費 グラスウール10kを基準とする)
当社比 壁断熱の場合

材料費で見るとAとBとの比較が約4.5倍、施工費を含めると約6.7倍という数値になります。天井屋根断熱では施工費にもっと差が出ます (詳細は来週)。いずれにしても大きな価格差です。しかし、では厚さで性能を確保するのが全て良いかと言うと、一概にそうとも言えません。後にも述べますが 、断熱以外も含め建築全体として、費用対効果を検討する必要があります。結論としては
「断熱材の厚さの取れる箇所は、 厚くとる」「厚さの取れない箇所は、性能の良いものを使う、もちろん、コストをにらみながら。」 と言うのが当社が妥当だと考えている方法です。
今回はここまでで紙面が付きました。来月は、「隙間のこと」「断熱工法のこと」「Q値のこと」とかを基本に返って書くつもりです。
つい先日「当社の施工平均Q値=1.5」という某社の宣伝を見ましたが、
「Q値1.5は、そんな簡単な数字じゃない!」と銘打ってその検証も行いたいと思います。

隙間から逃げる熱


 サッシを高性能な物にし、性能の高い断熱材を厚く施工する。こうして「住宅の高断熱化」がはかれました。次に行う事と言えば「住宅の高気密化」です。昔から「隙間風が入って寒い」という事をよく言います。家全体の隙間を少なくすれば、逃げ出す熱が少なくなるというのは、誰しも直感的に理解できると思います。「高断熱化しただけではだめ、高気密化も同時に行わねば、本当に暖かい家はできない」そういった考えから「高気密高断熱住宅」が生まれて来ました。
 家の隙間と言いますが、最近の住宅では、特に高気密をうたっていなくても、隙間風が入るなんて事はまず聞きません。実際、外の光が見えるような状態では雨が吹き込んでしまいます。では「どんな所に、どの位の隙間が有るのか?」と言う疑問がわきます。
 隙間の有ると考えられるヶ所は、サッシの周り、サッシ自体、床と壁の交差部、壁と天井の交差部、柱と内部仕上げ材の間、外部コンセントの周り等です。いずれにしてもたいした隙間では有りませんし、肉眼で隙間が見えたり、手を触れて外気の侵入を感じると言ったことはまず有りません。しかし、そのわずかな隙間を積み上げて合計した数値が、家の断熱性能に少なからぬ影響を与えます。

家の隙間をどうやって計るのか?


そうなると次には、「そんなわずかな隙間をどうやって計るのか?」と聞いてみたくなります。右上の写真1をご覧下さい。これは、実際に当社のが気密測定を行っているところです。ちなみに、当社は、気密測定の公認登録店であるので、当社の測定結果は公認数値とされます。
 さてその測定方法ですが、写真右上にあるプラスチックでできた大砲のような物、これに大きなファンが組み込まれていて家の中の空気を外に排気しています。そうすると、家の中と外に気圧差が生じます。

写真1



(耳がキーンと鳴る人もいます)どのくらいの強さでファンを回した時に、どのくらいの気圧差が出たかというデータに、諸条件(気温、床面積他)を加味して「家の隙間と思われる数値」をコンピューターが計算します。この「家の隙間と思われる数値」の事を「相当隙間面積=C値」と言います。
 この測定方法を減圧法といいます。他にも気密測定の方法は有るのですがいずれにしても、「住宅の気密性能は、実際に測定する以外に明らかになりません。」
高気密をうたい文句にしている会社が、3棟に1棟も気密測定を行っていない様ではあまりほめられません。

隙間と断熱性能の関係

 先月号で、家の断熱性能を上げるのに「家の隙間を減らす」(ほぼ正解)と書きました。「完全正解でなくほぼ正解、なのは何故か?」・・・「それは換気の為です。」
ご存知の方も多いと思いますが、本年建築基準法が改正され、常時一定の換気量を確保する事が義務付けられました。「一定の換気量ってどの位?」かと言えば、「1時間に家の中の空気が半分入れ替わる事」と言うのが決まりです。
(一般にC値=5?/?の隙間があると約0.5回の換気が行われると扱います。)つまり、或るレベル以上の気密化住宅(C値<5?/?)では、隙間から逃げる熱より換気から逃げる熱のほうが大きくなり、隙間の大小が断熱性能に評価されなくなります。「じゃ、そんなに高気密にしなくてもいいのでは」と言う見解が表れたのは当たり前ですね。「中気密 高断熱」などとおおっぴらに言ってる会社も有りました。現在では、「計算どおりの換気経路を確保するのに高気密化は必須である。」と言う結論に落ち着いています。私としては、「日本の高速道路の速度制限は、100kなのに、最高速300kの車を作っても意味がない」と言う話に近いかなと思っています。高性能とはそういう事ですから。

断熱工法と断熱性能


断熱工法と1口に言っても本当に様々な工法が有ります。現在では、内断熱と外断熱というのが2つの大きな流れの様に言われています。一般には、内断熱=グラスウール、外断熱=ボード系断熱材 という分け方で、内断熱VS外断熱がグラスウールVSボード系断熱材と形を変えて相方の優劣を競い合っています。しかし現実には、例えば、「FP工法」は、硬質ウレタンを用いた内断熱ですし、外断熱用グラスウールボード゙という製品も出回っており、紅白両軍の陣営は入り乱れているようです。
 今回は、基本に返って断熱材性能=性能×厚み、と言うキーワードを元に両者を検討してみます。
 先ず壁の断熱性能について、図A、B、B'をご覧下さい。







これが、典型的な内断熱(図A)と外断熱(図B)です。この図から外断熱の利点を説明します。図Aの黄色の部分に注目してください。この部分は、木材の柱です。木材は、断熱性能が高いと言われますが、(ログハウスが暖かいって言いますよね)一般のグラスウール10K品の40%ほどの断熱性能しか有りません。その為、グラスウールの入っている壁に比べると熱を通し安くなっています。この部分を熱の渡る橋と言う意味で「熱橋」と呼びます。(もっとも、この熱橋部のK値=0.93であり、最高性能の樹脂サッシの1.6倍の断熱性能が有ります。)外断熱ではこの熱橋部分の外側を、断熱材がカバーしているので熱橋部の分だけ断熱性能が上がります。ちなみに図Bの様に内断熱で同じ断熱材を用いて、壁の断熱性能を同等に出す為には、ツーバイフォー工法の場合、外断熱50ミリに対し内断熱では85ミリが必要とされます。(65ミリで足りると思っている方が多いのですが、正確には85ミリとなります)だから外断熱のほうがずいぶん効率が良いといえます。ただし、外断熱で50ミリを貼るというのは、かなり思い切った施工ではあります。断熱材の外側に外壁を支持するので、外壁が重い場合は、ずり下がり等の問題が発生する可能性が考えられ得るからです。
この様に壁においては、何ミリ厚を限界とするべきかという議論は有りますが、外断熱の効率の良さは注目すべきだと思います。
 次に、天井、屋根部分について検討します。図C、Dを見て下さい。







この場合は、外断熱対内断熱というより、屋根断熱と天井断熱という様に考えても良いかもしれません。
図を見ると分るように、外断熱の方が外気に面する面積が広くなっています。(イの部分比較)かつ、温めなければならない空気の量も増えています。(ロの部分)もちろん、小屋裏の利用と言うメリットは生じるわけですが、こと断熱だけに関して考えると非常に不利な状態になります。その上、屋根が風に舞わないようにする為、木材を打ちつけた間に断熱材を施工せねばなりません。即ち、外断熱ではあるが熱橋が生じています。対して天井断熱の場合熱橋が生ぜず、しかも厚みを簡単に積み重ねる事ができます。ちなみに、グラスウール300ミリの天井断熱と同等の効果を外断熱で得るには、カネライトフォームF3で210ミリを必要とします。(屋根勾配4寸の場合)この様に、屋根、天井部の断熱性能のビハインドが大きいために「外断熱にすると断熱性能が上がる(ほぼ不正解)」、と先月記した次第です。しかし、小屋裏は魅力的な空間であり、その利用法を考えるのは楽しいものです。要は、小屋裏利用の価値と、断熱性能(ランニングコスト)と、施工価格を、いろいろ比較してしっかり検討すべきである、という事のように思います。特に外断熱で屋根裏利用をしないプランは、「本当にもったいない」と言えます。

Q値について


 様々な断熱工法は、最終目的として「Q値の高い住宅を合理的に建築する」と言う目的で開発されてきたものです。だから工法を語って、Q値を語らないというのは、本末転倒と言うべきです。それだけ、Q値は大変大事な基準であり、厳格な正確さを持って取り扱われるべきものです。Q値を公表する際には、問われれば、常にその計算の根拠を提示する姿勢で無ければなりません。
  例えば、先般、「施工平均Q値=1.5」とうたって有った他社広告では、そこに示されていた断熱仕様を用いて当社が計算するとQ値は1.8以下にはなりませんでした。
  先月号にも書きましたが、「Q値1.5は、簡単な数値では有りません。」何故かといいますと、「内断熱工法」「外断熱工法」単独では、Q値1.5の壁はまずクリアーできないからなのです。Q値1.5と言う数字を達成している会社では「そんな事やってるの」「そこまでやるか」と言った工夫が必ず見受けられます。断熱効果=性能×厚み。この厚みの確保に皆さん大変な苦労をしているわけです。いわゆる高気密高断熱を看板に上げる会社にとって、「Q値=1.5と言う数値は一つのステータスである。」と言えるように思います。

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